日本の参謀本部 大江志乃夫
- 作者: 大江志乃夫
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1985/05/23
- メディア: 新書
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旧帝国陸軍の中枢である参謀本部の、その成り立ちから、変容、終焉までを追っている。
「明治まではよかったが、昭和でおかしくなった」というのが、まぁ問題ありつつも色んなところで見かける「司馬史観」的なモノの見方だが、少なくともこの本を読む限り、日本陸軍に関してはその成立から問題あり過ぎ。
どうもこの本だと、その原因が一人に求められてしまう。
…山県有朋ー!!
…お前のせいで…お前のせいで帝国陸軍はウボァー。
情報軽視、謀略重視。極端な秘密主義。スタッフシステムに過ぎず、憲法上その責任を負わないのをいいことに戦略優先、政略軽視(普通は逆)。統帥権の勝手な強化。帝国憲法違反すれすれの軍令条項を制定。戦術重視、戦略皆無…。etc。
WWⅡの時に落ちるところまで落ちた指導層を見てると、怒りを通り越して涙が出てくる。
戦犯、中韓云々の話は置いておいて、日本人の立場として、東条を靖国で祀るってのはどうよ。功を焦って拙劣な作戦立案した者、それを奨励した者、それらを見て見ぬふりした者、ひっくるめてそれを追認した者。
これによって死に追いやられた人間と、追いやった人間を同列に扱うのには反対したい。