ヒストリエ

※基本的にネタバレを含んでますので、見たくない人は見ない方が。







結局我慢できずに買った、ヒストリエの1・3巻。それなら最初から3冊併せて買っておけって。
岩明均のマンガは、どこか淡白な印象がある。キャラクターの個性も、至極淡々としているように見える。だが、面白い。何故だろうか。
エウメネスの特異ぶりが発揮されるのは、やはり2・3巻。
目の前で人が殺されても、たじろがない精神。父の死に際しても、平然と振舞う。
だが、3巻で、奴隷として引き取られていくときの彼の叫び*1は、感情と魂の軋みに満ちている。
元の家族に向けて、発せられた言葉。その言葉は、家族の心を抉る。少年の胸には、今まで、家族と信じて疑わなかった人たちとの思い出が去来する。彼の心は、恨みと怒りの一色であったのか?
決して、そうは思わない。
3巻のもう一つの見せ場は、エウメネスがカルディアの港から旅立つ場面。
エウメネスを人質に取り、抵抗する母親の動きを止めたのは、若き日のカロンだった。そのことを告白できず、エウメネスを乗せた船を見送りながら、彼は号泣する。
友人との別れ。
「たとえ奴隷でも、今でもあいつは友だちさ…!」
「ああ…!」
「うん!」
トルミデス、ニコゲネス、お前ら…いいヤツだなぁ。

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(1) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

*1:「よくもぼくをォ!!だましたなァ!!」この場面は、虹裏に何度も繰り返し張られていた。