関東大震災

9月1日が「防災の日」なのは、関東大震災があった日だからなのです。




過日山田FBと八王子城に行った帰り、ブックオフに寄って買ったのが、吉村昭の「関東大震災」。
吉村氏の作品は、骨太で無骨な飾り気のない文章と、丹念な取材に裏打ちされた、圧倒的な情報量と臨場感。これが好きで、中学時代から作品を読んでいた。
…まあ、題材の選び方がツボってのも当然あるのだけれども。
関東大震災が発生する数年前から、関東地方で起こっていた群発地震
それについて、異なる見解を示し、対立する2人の地震学者、大森と今村。
圧巻は、地震そのものの被害よりも、それに伴って発生した火災と、人心の混乱だ。
被災者の実に4万人以上が死亡した、陸軍被服廠跡の大火災。
乱れ飛ぶ流言飛語の数々、それによって暴徒と化す、普段は善良な筈の市民。
虐殺される朝鮮人、そして、日本人さえも。
読めば読むほど、空恐ろしく、重苦しい圧迫感に包まれる。
お奨め。

新装版 関東大震災 (文春文庫)

新装版 関東大震災 (文春文庫)