女帝と道鏡
女帝と道鏡―天平末葉の政治と文化 (1969年) (中公新書)
- 作者: 北山茂夫
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1969
- メディア: 新書
- この商品を含むブログを見る
史学科卒業だが、はっきり言って学士レベルじゃあ専門分野以外は高校で習った知識止まりだ。大学や個人差は当然あるが。
最近はあまり触れる機会のない古代史に興味が沸いている。
神聖視されている皇室の歴史の中で、最大のスキャンダルともいえるのが称徳天皇と道鏡の関係ではあるまいか。
孤独の帝王は、藤原仲麻呂を寵愛し、性の相手としても傍に置く。仲麻呂の次に、性の相手として登場したのが、戒律に忠実でなければならないはずの僧侶である。道鏡は天皇を看病する内にただならぬ仲となり、異例の出世を遂げ「法王」という、これまでの日本仏教界では聞いたことのない位までが、わざわざ彼のために用意される。
そして、称徳天皇と組みしての帝位簒奪*1にまで発展する。この異常事態に歯止めを掛けたのが和気清麻呂であるが、あるいは現代まで続く日本を守った人物として、もっと知られるべきではなかろうか。実に恋というのは恐ろしきもの哉。
*1:という表現は適切ではないが