ソリッドファイター

ブラッドジャケットに続く、古橋秀之の第三作として執筆された作品。
正直、格闘ゲームを題材にしている、というのと、挿絵、それから「こんなノリは*1古橋作品じゃないっ!」的な先入観が邪魔をして、発売当時から今までほとんどスルーしてきた。
それがつい先日、市内の図書館に赴いたところ、何の気なしに座ったイスの向かいが、ライトノベルとジュニア小説メインの「ヤングアダルト*2」の棚だった。で、これまた何の気なしに「古橋作品は流石に無いかなぁ」とハ行を目で探すと…あったよ、しかも一番マイナーと思われる、ソリッドファイター1が。
あまり乗り気でもなく、時間潰しくらいのつもりで読み始めたのだが、時間が経つにつれて引き込まれ、結局読了した上、読み返す&T氏に貸すために借りてきてしまった。
基本は学園物コメディ*3。格ゲー好きの高校生・スダケンを主人公に、バーチャファイターをモデルにした格闘ゲームソリッドファイター」を巡るストーリー。
当時革新的であったバーチャを題材にして、笑いあり、友情ありでお届けする三部作…であったはずなのだが、悲しいかなセールスが振るわず、1巻で打ち切りの模様。
いやぁ、古橋先生はコメディを書かせても非凡だなぁ。というか、とにかく文章のテンポがいい。ストーリーはスダケンの一人称で語られるのだが、その喋りもいちいち面白い。
後書き通り、三作で完結していれば非常に面白かっただろうが…まぁこれだけでも充分に楽しめます。

ソリッドファイター (電撃文庫)

ソリッドファイター (電撃文庫)

*1:思い切りブラックロッドに嵌っていた当時だったので

*2:このネーミングもどうかと思うが

*3:で、いいのか?