ザ・マジックアワー

実際映画も三ヶ月に一遍くらいの頻度でちょこちょこ見てはいるんだが、なかなか書く機会がない。
今回は三谷幸喜最新作、「ザ・マジックアワー」。粗筋はwikipediaから引っ張ってきた。



港町・守加護(すかご)でギャング・「天塩商会」のボスの愛人のマリに手を出した備後登は、自分の命を見逃してもらうため伝説の殺し屋「デラ富樫」を連れてくることになる。
探しても一向にデラ富樫を見つけられない備後は苦肉の策として、売れない俳優・村田大樹を映画の撮影と騙してデラ富樫に仕立てて乗り切ろうと画策する。
相手が本物のギャングとは知らずデラ富樫を熱演する村田。
村田と「天塩商会」に嘘がばれないよう四苦八苦する備後。
村田をデラ富樫と信じる「天塩商会」の面々。
それぞれの思いやすれ違いが行き交う中、次々と予期せぬ展開が待ち受ける。


三谷作品は、映画に限っていえば「ラジオの時間」と「有頂天ホテル」に続いて三度目の視聴となるが、この中の作品では一番面白かった。
序盤は村田の正体がいつバレるのか?という緊張感が映画を支配し、笑いも若干控えめになる。
だが、正体がバレた後の終盤は、その緊張感が解けた分、ストーリーも登場人物も一気にはっちゃけて、観客も畳み掛けるような笑いの連続を心の底から楽しむことができる。
意識せず、面白さに見も心も委ねられたのは久しぶりだった。それだけでもこの映画は見る価値がある。
登場人物も個性的で実力のある面々(綾瀬はるかは除く)ばかりだが、その中でもとにかく深津絵里の悪女っぷりが良い。
備後に甘えかかる少女のような顔から、瞬間に我が儘で醒めた女の顔に。はたまた、惚れた男を救うため、毅然と自分を張る健気さと気高さを見せる。深津の演技力の高さと豊かさを十二分に楽しめる。
「不幸な境遇を過ごして」結果的に悪女となった、というが、どうして、全てを見る立場にある観客からすれば、女の強かさをこれでもかと強烈に感じさせる。
まさしく「女は皮を被っていて心はむごい虎同然。」てなもんだ。
だが、この深津絵里の甘え方がほんっっっっとーに可愛い。こんな調子でやられたら、完璧に篭絡されちまうだろうなぁ。