インド 11月3日

小雨の降るインディラ・ガンディー空港に到着。入国審査で、小さな紙をもらう。
「CUSTAM」と書いてあるけど、これは何のことだろう。まぁいいだろう。「歩き方」にも、無くしても、空港にたくさん置いてあるから大丈夫だって書いてあるし。
*1
ガランとしているのは、もう夜だからだろうか。握り締めている歩き方だけでは、勝手が分からないから随分と心細い。
これすら、成田空港の書店で買った物だ。本当に行く気があったのか、今考えても疑いたくなるが
目の前に見えているのが税関…ぽいが、誰も居ない。
夜だから?そんな馬鹿な。
素通り。そんな馬鹿な。
税関のゲートを超えたら、様々な声が一斉に飛び交った。今考えると、恐らく銀行の窓口からか、それともゲストハウスの客引きか、悪徳旅行会社だったのか。
左右の手すりに、インド人が鈴なりになってゲートをくぐる人を待っている。ツアー客を迎えにきたガイド、あるいは帰国するインド人の出迎えだろう。
確か出発前の山田からのメールでは、ここの左側に…あれ?空港を出て左側だったっけ。
左右をキョロキョロ見回し、「どっかに隠れてるんじゃないか、でお俺があたふたしているのを見てほくそ笑んでるんじゃ」と深読みして、待合室をグルグルと回る不審な日本人の坊主が1人。
…いない。えーと。
確か一回出たら、再度中に入るのにはいくらか必要…だったような。
しかし、ここには居ないようだし…ホテルに電話…はしたくないな。やり方よく分からない。
…が、誰も居ない空港にいても、事態が好転するわけじゃない。
「外で待っている」方に賭けてみることに。
空港から出ると、待合室にいたインド人の更に数倍の人数が待ち構えていた。目ばかりギラギラしていて、街灯の橙色が黒い顔の群れを照らし出している。
その一群の中の、見紛うことなき醤油顔。
「いた!よかったよー」
興奮して握手。異国で知っている人に合うと、こんなにもホッとするものか。
若干蒸し暑い、デリーの空気。プリペイドのタクシーを頼んで、メインバザール(パールガンジ)へ。
インドだ、インド。なんで俺はこんな所にいるんだろう。海外、しかもインド。話に聞いてただけだった国。
車もリクシャもバスも、信号のない道も、排気ガスで酸い空気も、ヘルメットも被らずに2人乗りで走るバイクも、全て目の前の現実がインドであることを示している。
にも関わらず、薄い現実感。把握し切れていない現状。
「ああ、なんで俺、インドにいるんだろう」




メインバザールの入口で、タクシーをシェアしていた日本人と別れ、宿に向かう。
インドだ。
夕食にカレー。結局インドに言っても、カレー(カリー)とマサラの違いは良く分からなかった。
周囲に、ほぼインド人しかいない生活の始まり。
初日終了。

*1:あとで割と大変なことになります