宇宙の勝利者

宇宙の勝利者 (SFロマン文庫 (13))

宇宙の勝利者 (SFロマン文庫 (13))

偏食ではあったが、高校時代が最もよく本を読んでいた気がする。で、ふと当時読んでいたSFシリーズを思い出した。
こういうとき、ネットはホントにすごいと思う。ぴったり合致する条件で検索しなくても、覚えている断片的な情報で、外堀からジワジワ埋めていくように探していけば…ほら、あった。
というわけで、読んでいた時は全く気にしていませんでしたが、岩崎書店という所が出していた、「SFロマン文庫」「SF少年文庫」でございました。ふぅ。
基本的に好きなジャンル、嫌いなジャンル、という意識は薄くて、面白いと思った物を読んでいる感じだった。このシリーズに触れて、ことさらSFに興味を持ったというわけでもない。
その中の好きなものの1つが、この「宇宙の勝利者」。多分、高校の図書室に行けばまだ置いてあると思う。
当時は*1、友達も少なく、クラスでも少し浮いていたので、休み時間のたびに図書室に出かけていた。同じところに長時間、強制的に拘束された場合、休憩時間でも全く同じ場所にいると休んだ気がしない、という性格のせいもあったが。10分間の休みでも、同じだった。
図書室には中年の女性司書教諭*2がいたが、彼女とも距離を取っていた。図書室に行っても、誰かと交流らしい交流があるわけではなかった。
10分間の僅かな休みの時間に、本を読みに来る生徒も少なかった*3ので、静かな図書室で時間を潰すことができた。
ながら食いに抵抗感がないので、*4昼休みになると速攻で弁当を持って図書室に行き*5、まだ人のいない昼休みの図書室の奥で、本を広げ、思う存分「ながら食い」を楽しんだ。






話が暗ーくて、痛い方向に逸れた。
今回はわざわざ、地元の図書館を2件も回って、この「SF少年文庫」を捜し求めた。
粗筋は、人数が少ない版の「11人いる!」だと思って差し支えない。

20世紀の地球に宇宙人が降り立ち、「宇宙連合」の存在と、地球人が恒星間航行可能な宇宙船を作ることができれば、その「宇宙連合」に加盟できるが、宇宙人はその手助けをできないと告げる。
地球の各地区から、20人の若者を選んで宇宙人教育を受けさせることが決定し、アメリカの高校生の300万人の中からは、ジム、エレン、カートの3人が選ばれる。
3人はネズミに似た人型宇宙人のビープとともに地球を出発するが、宇宙船は事故にあい、地球人に似た「モーレグ族」、カンガルーに似た「ワラット族」、トカゲに似た「ノイフ族」の3種族の人類が住むクェバール星に不時着する。
クェバールの人々に正体を悟られず、かつ自分たちの知識や情報を漏らさずに、救助信号発信装置のある、アンノーンという島までたどり着かなければならないのだが…。

ジムは物理学、エレンは社会学、カートは歴史学を多少勉強しているのだが、その3人がもっと自分たちの特性を生かした行動を取った方が面白かった。
カートには、宇宙人を敵視する「地球至上主義者」という美味しい設定まであるのに。
こういう風に、少年たちが協力して困難を乗り越えてくっていうのは、今読んでもワクワクする。
内容はジュブナイルだけあって少々複雑さに欠けるが、肩肘張らずにサラッと読める。

*1:今もだけど

*2:桃井かおりに少し似ている

*3:大抵皆は教室で時間を潰していた

*4:家族には大変不評だが、毎日顔を突き合わせる人たちと、今更重要な話を頻繁にするわけでもなく、食事の時間は退屈なのだ。両手がふさがる日本食ならともかく、朝はパン食なので、食事自体が無駄だとは決して思わないが、どうしても「食事に拘束される時間」が無駄に思えてしまう。

*5:もちろん弁当箱は懐に隠して。司書も司書室で昼食となるので、咎められる心配は滅多になかった。