自転車 8月7日

6時に出発。若干肌寒い。朝方は曇りがち。
…あまり面白くない道のりだったせいか、印象に残っている場所が少ないので書くことがない…。岩手沼宮内まではダラダラと緩やかにアップダウンが続く。美術館を併設した、道の駅・石神の丘に着いたのは10時頃。
売店で売っているトマトが美味い。
丸っきりスポーツ飲料やお茶で水分補給、というワンパターンに陥りがちなので、こういう変化があると新鮮な気分になる。宿泊前なら、氷も買ってキンキンに冷やすんだけどな…。
十三本木峠までは勾配がややきつく、息を切らせながら上る。日差しが戻ってきて、日焼けの後をさらにジリジリと照らす。帽子をこまめにかぶりなおして顔への直射日光も防いでいたが、浅く薄く日に焼ける。メガネをかけているせいで、妙な具合に焼け始めてるし…。コンタクトにすりゃ良かった。
耳は防御が間に合わず、「かゆいな」と思ってバリバリ掻いていたら皮がボロボロ剥けた。既に焼け過ぎてたらしい。
ここから二戸までは、今まで稼いだ高度を一気に消費していく。その代わり、今度は距離が稼げる稼げる。1時間に20km。

記憶に残ってるのは三戸から五戸のライン。青森県南部は十和田・八甲田の火山帯で形成されている。こいつが曲者で、よほどすごい溶岩の流出だっのか、海岸付近にまで進出して稜線を形成している。おまけに、稜線と稜線の間隔がやたら狭く、かつ稜線がかなり高い。

もし平坦な道路を望むなら、海岸沿いの国道に出るのがもっとも手っ取り早いのだが…。ここで読み違えた。五戸付近にキャンプ場の表示があり、そこに宿泊することに決めたのだ。…国道4号線を北上して。
地図上では、4号線は三戸から五戸に到達するまでに、二つの稜線を越えていた。等高線は一本程度だが、地図で見るのと実際上るのでは大違いだ。
「最後の最後に来て、こんな一仕事をこなさなきゃならんとは…」
呻きながら、稜線を上り、下り、上って…という責め苦に耐えられたのは、五戸の温泉マークと休息への渇望のお陰だった。
漸く辿り着いた「まきば温泉」…なのだが、ネオンはついている割に玄関は工事中という妙な状況。工事を請け負っているおっちゃんに聞くと、「営業してないよ」との答え。んじゃそりゃあ!
仕方なく、もう一つの「五戸温泉」へ。市街地に入って分かったのだが、五戸の町はかなりおかしい。九十九折になっているような地形に無理やり道路を敷き、無理やり家を建てて住んでいる。そんな感じ。
商店街に面する道路ですら、ちょっと息切れ起こすような勾配がついてるってどういうこと?
暫く迷った末にGSで場所を確かめ、「五戸温泉」に辿り着くと、どう見てもカウンターの電気が付いていないという妙なjo(ry
「今日定休日なんですよー」
「そうですかー(棒読み)」
悟った。いや、正確には五戸温泉に着く前から悟っていた。『今日は何をやっても裏目に出る日』だ。
結局もう一つ「五戸温泉」があることが分かり、田んぼの真ん中にある温泉を見つけ出して汗を流したのが六時半。辺りは既に夜の帳が下りている。この状況で、街灯もろくに存在せず、かつまた急な坂を上り下りしてキャンプ場を探し出す気力は失せていた。スムーズに見つけたとしても、食事の準備をし、テントを張って休めるのは8時過ぎになるだろう。
そう、それなら、ここから平坦な道が続く、海側の八戸を目指せばいいのではないか?多分到着は8時くらい。大きな町だから、宿を取るにも苦労しないだろう。コンビにもあるだろうし。
…今となっては神のみぞ知るだが、正直この選択も『この段階でとり得る選択肢の中ではまぁマシな方』で決してベストではなかったと思う。まだまだ試練は続いたのだから。
真っっっっっっっ暗い道、闇のせいで自分がどんな場所を走っているのかもよく分からない。農道なので、街灯なんてもちろんない。月は雲で陰っている。全く心細い夜道の旅だった。
本当に遠くの方に、小さくライトの光が見える。「工事でもやってんのかな?」と思って10分くらい走ると、それが「対向車のライト」であることに気付く。どれだけ真っ直ぐでどこまで続いてるんだこの道…。闇の向こうに消えていく道を走るのは、気持ちのいいものじゃない。
漸く、「ここを右折すれば八戸」という交差点に辿り着き、素直に右折。
…なんだかまた勾配があるんですが…。
甘かった。八戸にダイレクトで通じる沢から、一本北に行き過ぎた。お陰で、また稜線を一本越え直さなければならない。全く、誤算だった。空気は涼しいが、汗が噴出す。…せっかく温泉に入ったのに。
顔を歪ませながら上っていくと、進行方向の車線が工事中のようだ。車道を避けて、側道の砂利道に入り…まさかその側道が途中で切れてて、元の車道に出られないなんて思わないじゃない。辺り真っ暗で状況が読めないし。泣く泣く車道まで引き返す。
『何をやっても裏目
稜線を上り切り、そして下る。街の灯!「やった!八戸だー!」本当に嬉しかった。
八戸駅へ向かう。市街地までは少し距離があるので、新八戸駅前で宿を取ろうと考えた。…が、ホテルが集まるのは東口。今いるのは西口。西口へ向かう途中で、跨線橋を見つけた。だがこれを使うとなると、また「上る」「下る」という世にも億劫な作業を繰り返さなければならない。
「…駅にはエスカレーターがあるだろうから、それで上って、駅の中を走って、東口でまたエスカレーター使えばいいだろう」
と思って跨線橋は無視。
『何をやっても裏目
駅の入り口に、「自転車の通行禁止」の文字。
グッタリして跨線橋を超え、東横インに宿を取ったのは8時半。タッチの差で部屋が無くなるという瀬戸際だった。
とにかく、後半疲れた一日だった。コインランドリーで洗濯と乾燥を済ませて寝たのが1時過ぎ。
そしてまさか、その後これが大変な事態を引き起こすとは、誰も予想していなかったのです…。*1

*1:余計なナレーションを入れるんじゃねぇ!