親父の三題噺

  • その一 「九州でタイ人に間違われる」

元々地黒な人であり、このときは、夏の自転車旅行中だったので、日焼けでいつもより黒かったのだろう。とは言え、一重瞼の典型的日本顔なはずなのだが。
宮崎県のあるキャンプ場に泊まろうとしたときに、管理人に聞かれたそうだ。




「タイの方ですか?」、と。




世界には200ヶ国以上の国があるのに、なぜ「タイ」一択なのか?
宮崎で色黒と言えば「タイ人」なのか?
そもそも、なぜ日本で「タイ人」であること前提の質問をされるのか。
大いなる疑問と、仄かに悲しみを抱いて、父は帰宅した。




  • その二 「保育園実習中」

父未だ若かりし頃、保育園に実習に赴いた。
幼児保育で必ず行われるのが、全園児揃っての「お昼寝」タイム。
子供を寝かしつける父。やがてホールが、園児達の寝息以外は聞こえない、静寂の時間に入った頃…。




BOOOOOOOoooooooo!!!!!!!!!




盛大な放屁音が鳴り響き、そして静まった頃に、罰の悪そうな一言。
「…子供達、起きませんでした?」



  • その三  「高校時代」

高校生の時、朝からお母さんの作ってくれた黒豆の煮豆が美味しくて、ついついどんぶり一杯平らげてしまいました。
するとその日の授業中、なんだかお腹の具合が…。
どうしても我慢できなかったので、気付かれないように細心の注意を払って、腹の中のガスをすかしました…思いっ切り。
幸い音も出ずにガスを出し切り、ホッとしたのも束の間、前の席の同級生が、顔をしかめて囁きます。
「なぁ…ウンコでもおっこってるのかな。スゲー臭いけど」
父親は観念して言ったそうです。
「…さぁ?」




…さぁ?じゃねぇよ!
タイ人ネタは最近の話なのでよく話題にも上るんだけど、他の二つは初めて聞いた。久しぶりに聞いたらしい母親が、腹が捩れる位笑っていたのがちょっとビックリ。