キャノン先生トばしすぎ!

マンガはマンガでもエ ロマンガのレビューです。また。
ゴージャス宝田に注目したのは去年の春頃だからもう結構前の話で、虹裏に貼られていたエロも何もないページが切っ掛けであった。つーか、釣りスレに釣られたら見事にツボにはまったわけだが。
ゴージャス宝田は生粋のロ リマンガ家であることは疑いようのない事実だが、同じくLOで描いているようなEB110SSやらする、鬼束直などど比べて決定的に違うのは、その絵柄云々よりも、いかに設定を荒唐無稽に作り上げるか、という点においてだと思う。
今回の作品がその典型で、つまり、ぶっ飛んだ思考回路を有し、ぶっ飛んだ発言をするヒロインを設定することによって、ロ リという非現実的な設定から更に読者を非現実的な「ねーよwww」という感覚に追い込む。この場合、それがロ リに嗜好の向かない人間をも取り込む効果をも生む。いわば前提であるロ リに対して、「ファンタジーである」ことを強調する。リアリティがなおざりにされているわけではないが、その比率の偏りは著しく、しかし、それは絶妙のバランスで均衡が保たれている。
これは、ロ リを表面的に、あるいは潜在的に避ける傾向のある人間に、一種の免罪符として効いてくる。




そしてもう一つは、読者の、登場人物への共感である。ここに、「ファンタジーとリアリティの均衡」の妙がある。
濃厚で怒涛のエ ロ描写の波状攻撃が続く中、「まぁ、それはそれとして」という態度で、手堅く織り交ぜられる一貫したストーリーは、読者層のヲタを狙い撃ちにしたような、ある意味メタ的な、
「いつまでもモラトリアムな青年が、そのマンガに賭ける想いから大きく成長を遂げる」
ものだ。



「載せる載せないは牛田さん*1が決めてくださいっ…!」
「でも…」
「僕に出来るか出来ないかは…僕が決めますっ!」

誰もが悶々とする青春時代、ヲタの青春ってのはその衝動を創作活動にぶつけてみたりするもので、それが例えばマンガであったり小説であったり。で大抵は、それが大きくモノになる前に、何かしらの理由で挫折していく。
そういう人間は、本編の主人公であるルンペン貧太に共感する。間違いなく。
目の前に、夢であったマンガ家がいる。彼女はまさに選ばれた人間で、しかも限りなく身近な存在だ。絶好の手本を前にして、それでも怠惰な日常と欲望から抜け出せない。
だが彼は目覚める、編集者の一喝と、彼女の助けによって。
読者は過去の自分を主人公によって追体験する。そうして、その非現実の世界が可能な限り身近に感じられた時、初めて、そこにエ ロ描写から得られる快感と、彼の成長する物語がリアリティを持ち、畳み掛けるようなクライマックスにカタルシスを感じ得るのである。




などと訳分からんことをつらつら並べ立てたけど、それはさて置きキャノン先生が漢過ぎる。



「後でどうにかなるモノにブッかけても意味はありませんっ」
「晴れ着っ、ウェディングドレスッ、妹の部屋から盗ってきたスク水っ、級友のブルマーッ」
「『どうしよう、大変な事をしてしまった』」
「その取り返しのつかなさがブッかけでは!?」





「公衆の面前で肛○からお○っこ噴いたのなんて、生まれて初めてですっ!」
「いくらなんでも・・・心の準備というモノがありますっ!」
「(心の準備があれば)OKですっ!」





素敵過ぎます。
というオチでこの項終了。

キャノン先生トばしすぎ (OKS COMIX)

キャノン先生トばしすぎ (OKS COMIX)

*1:編集者