居酒屋で管巻いて捲し立てているオヤジをご想像ください。

さて、河口慧海の行った所と、虹色の輪っかが重なってるイベントの問題である。
言い訳だが、これを書くのには若干の躊躇いがあったことだけは記しておく。
普段人権問題にも傍観者だった人間が、中国がチベットを弾圧だ!となったとき、雰囲気に乗って同じように叩くのはちょっとなぁ、というのがあった。
弱者の虐げられる様を見て、自ら非難の声を上げ、彼の弱者を救おうとする。大変尊敬すべき行いだし、立派だとも思う。




その決意に殉じられるのであれば。





実際に声を上げて、街頭に出て、デモをする。不買運動を起こす。自衛隊に入って、仮想敵国と自分の胸に定め、日々の訓練を頑張る。実際現地に行って、公安警察と対峙する。チベット亡命政府に寄付をする。
どれも、「弱者を救おうとする決意に殉じている」と言えるであろう。だが、ネットの海の中だけでの行動では、安全な場所で屁をこいて寝ているのと大差ない。
じゃあこのエントリも屁と一緒ですね。




…そうですょぉ。






話が逸れた。
当面我が日本国が直面する事柄と言えば、長野県で行われる聖火リレーであろう。
本日の報道によれば、どうやら善光寺は出発地点になることを辞退した由。
しかし日本人の意識というのは恐ろしいもので、これだけ世界中で話題になってて、その話題の元凶が26日には自分の国に来るって言うのに、まだどっか遠い世界の出来事のように感じられて、「…あんな激しい妨害が、日本でも本当に起こるのかしらん?」と甚だ疑問に思う人もいる。



俺だ。




起こるか起こらないかはともかくとして、あの水色のだっさい格好した聖火防衛隊なる人間達がリレーを仕切るのは面白くない。人の国に来て好き勝手やってんじゃねーよ、というヤツである。
さて妨害の件であるが、これについてもちょいと思い悩む話だ。
妨害が起きて聖火がとんでもないことになってしまえば、それはそれでさぞ小気味の良い話だろうが、中国様の面子は丸潰れである。日本の治安当局にしても失態だろう。
日本人には、そんなに激しい意思表明は似合わないとも思う。
現実的に見れば、なんだかんだ言っても、世界は今中国を抜きにするわけにはいかないのだ。それは日本としても同じであろう。
かと言って、フランスやアメリカが「このまま聖火を通したんじゃあ、人権を守るってのが画餅になっちまうぞ!俺らの国舐めさせんな!」といった気持ちも分かる。
どちらの顔も立てる妥協案が必要だ。
つまり「聖火は絶対に、完璧に守る。だが抗議の意思は全世界にはっきりと伝わるようにしておく」というのが落とし所じゃないか。
玉虫色だ。実に日本らしい。
沿道の片側には黒い半期とチベットの国旗を掲げ、反対側は北京五輪の公式旗で埋め尽くす。で、観客は誰もいない。
オリンピックはオリンピックで、純粋に楽しみたいもんだな。無理だろうけど。まだ問題は出てくるだろう。