アフタヌーン 12月号

段々読むものが少なくなっていってしまっているような…。

まだ武蔵野第一の試合。
すいません、ひぐち先生。
心底どうでもいいです。




最初は、「高校」「アニ研」という要素だけを感じ取ってまず少し引いた位置から読むことにした。
次に、「主人公らしい主人公」という要素を見て、更に一歩引くことにした。
げんしけんにおいて、既に、オタクによるオタク語りであるとか、*1若者のリアルなコミュ*2におけるオタクの生態の、ある意味漫画的描写であるとか言ったものは、*3完成していると言って良い。
であるなら、そのアフタヌーンで再び「オタクコミュの物語」を描く意義というのは何か、と考えたときに、それはもっとファンタジーに溢れた、爽やかな学園青春モノを描くことにあるのではないか、と。
そしてそれは、今のところ成功しているように見える。



いやー、しかし当初は全然注目してなかったから、登場人物すらよく知らないんだよな…。(笑)
ただ、ここ三回くらいで「面白いなこれ」と思ったのは本当なのだ。
げんしけんでは、オタコミュのステロタイプというか、その舞台は「コミケ」であり、主人公達が製作するのは「マンガ」であり、といった「既存の文化」に則って物語が展開されていった。
ハックス!においては、(今のところ)その舞台は「二○動画」というニコニコ動画に酷似した動画共有サービスであり、主人公達が製作するのは「アニメ」である。
ちょっと相対化しただけで、オタクを取り巻く環境は、大きく変わったと思わないだろうか?
コミケ」という創作者の特別な場。絵を描くという力。オタクに対するある一定のハードルと言っても良いが、そのハードルを、高校生である彼等が、力を合わせて(と言っても、そこまで大袈裟な努力があるわけでもないが)、いとも簡単に超えていく。
主人公は、それまでは大してアニメに興味のなかった女子高校生だ。マンガを書く能力もない。彼女は、高校の新入生歓迎会(部活紹介?)で披露された、アニ研製作のアニメ上映を見て、「アニメを作る」ということに目覚める。
オタク属性が強いわけでもない、天然の、やる気と行動力はある主人公が、周囲と協力して、一本の動画を作り、それを動画共有サービスにアップし、多くの人が視聴し、感想を述べる様に感動する。
この過程が、ジンと心に響く。
げんしけんのような、オタコミュニティの濃密でリアルな人間関係は描かれるわけでもない。基本的に出て来る人間は良い子だし、「高校生らしい爽やかさ」を、そのシンプルな絵で表現することにも成功している。





新たな文化*4が誕生して一年以上が過ぎ、若者は今までより簡単に、不特定多数の人々から即時に評価を受けることができるシステム(舞台)の魅力を知った。その舞台では次々と、作品が発表されている。
その過程を、紙媒体のマンガ、という旧態依然としたメディアで再生するハックス!が、今後どんな展開を見せるのだろうか。ワクワクしてしまうじゃないか。

月刊 アフタヌーン 2008年 12月号 [雑誌]

月刊 アフタヌーン 2008年 12月号 [雑誌]

*1:後半はいくぶんファンタジー入ってたが

*2:大学のサークル

*3:アフタヌーン内で

*4:と断定していいのかどうかは、まだ評価の定まらないところではある