ベントラーベントラー

待ちに待ってた単行本が出たので、これで漸く古いアフタヌーンが捨てられます。やれやれ。

首都圏民営警察外星生物警備課の面々と、その協力者である外星人(宇宙人)・クタムが、今よりちょっと未来の日本で、様々な外星人と繰り広げられるトラブルを解決するためにゆるゆると動き回る物語。

その他作品の概要は、ちょっと探したら、id:soorceさんの2009-02-23で紹介されているので、知りたい人はそちらへ行くのが吉。
…と自分の言葉で発信しないのもなんだか味気ないので、補足。
外星人がどうやって地球に現れ、地球人がどうしてそれを受け入れられるに至ったのか、という経緯の説明は一切ないものの、地球人と外星人は概ね平和に(?)共生している模様。ただ地球人の外星人への見方は、「街で見かけるちょっと危なそうな人」という感じで、積極的にコミュニケーションをとろうとする人はいない。
それは、外星人を相手に仕事をしているはずのスミちゃん(主人公)や先輩の市河さんも同様で、現場では市河さんは先輩特権で華麗に実働をスルー、スミちゃんが嫌々動かされる、というのが大体のパターン。
唯一、課長の三田さんのみ(この人は歳のせいか、どんな経験があるのかやたら飄々としている)が外星人に対しても平然と対応している。



外星課に度々「ベントラーベントラー」を求められるクタムは、ちょっとズレたセンスの持ち主だが、非常に人間臭いところがかわいい。
外星人は、地球の言語を話したり話さなかったりとコミュニケーションの程度に差異がある。またその姿は地球人(読者)から見れば全く異なる場合もあるが、感情や行動が読み取れるように描写されている。

第7話「インディアン・マッシュルーム」に登場した外星人(植物に近いらしい)。お菓子屋さんで羊羹を買った後で、とっても嬉しそう。




売りである、マンガ全編に流れるゆる〜い雰囲気と、軽快なテンポが非常に心地良い。
外星人の造形も…これはなんか元ネタがあるのかな。個性的で面白い。
今のところお奨め、というか好きな話は、「3人目の双子」が現れてしまう第4話「世田谷トリプレッツ」。

倫理観のズレているちびっこい外星人はかわいいんだけど、用済みになった人間をさらっと「分解する」とか言っちゃう辺りが怖い。




もう一つは第3話「イマジナリースケルトン」。

クタム並みに人間臭い外星人(骸骨姿だからか?だとしたら、まさしく読者も「思惑通り」に錯覚させられてるんだなー)が現れる。こいつも、最後に地球人を「大変友好的、親睦に値す。…ただし理解力やや低し」とか、意味深な評価を下している。



外星人が地球をどうしようとしているのか、今一つはっきりしないが、それが本作の連載中にはっきりすることは多分ないんじゃないかな…と思う(それを匂わせるような場面は出てくると思うけど)。それに、本作の本筋はそこじゃないだろうし。
当ブログでは、野村亮馬先生のベントラーベントラーを応援しています。

ベントラーベントラー(1) (アフタヌーンKC)

ベントラーベントラー(1) (アフタヌーンKC)

しかし、単行本の表紙で初めて知ったけど、クタムがあんな色だとは予想外だった。キモイ。
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