インド 11月6日

「だから、他の見所には行かなくていいから、ジャマー・マスジットまで行けよ。Rs5で!」
「No.ジャマー・マスジットには、コミッションをくれる店がないから、行きたくない」
アーグラ城を出てから、しつこくついてきたサイクルリクシャのおっさんと、丁々発止のやり取りを…今考えたら、エラい時間の無駄だったような気がするが。
明け透けもなく、「契約店にお前を連れて行くとコミッションをもらえるから、お前が払う料金が、こんなに安くなる」というオヤジ。
その説明が大変面白く腹が立ったので、同じようなやり取りを延々30分以上繰り返す羽目に陥ってしまった。
おっさんと別れてから更に20分、ウロウロしていると、喉も痛くなってくる。いつもの喉風だ。これが来ると、体力的に、というより、精神的に辛い。
喉飴を探していたら、声をかけてきてくれたインド警察のおっちゃんに、「ジャマー・マスジットはデリーだ。アーグラにはないよ」と言われてガックリ。
でも、歩き方には書いてあるし、一つ行ってみるか…と歩いていったところ、

あるじゃん!ジャマー・マスジット。中には入れなかったものの、*1周囲をぐるっと回ってみる。外国人旅行客は皆無。そのせいか、店の客引きもない。とにかく、布屋がひしめき合っていた。
正午を過ぎ、腹は減ったが、まだ一人で食堂に凸撃するには勇気が出ない。腹を空かせたまま、一旦アーグラ城へ。
欧米人観光客の乗る、純白のツーリストバスに、物売りと物乞いが群がっていた。欧米人旅行者にしても、贅を尽くした旅を満喫するような、真の大金持ちではないだろう。だが、世界の現実。日本にいると、見ることのない、格差のある者同士の、正しいコミュニケーションのあり方の一つだと思う。

さて、帰ろうかという段になり、アーグラ城前のロータリー周辺にたむろしている、サイクルリクシャを物色。ただ、おっさん達はどいつもこいつも、今日の仕事は終わりとばかりに、動こうとしない。値段を聞いても、Rs70とか平気で言ってくる。
漸く「Rs30で行く]というリクシャを見つける。やれやれ。
道中、うちには3人の子供がいるんだ、とか、家が貧しい系の話を延々としてくるので、胡散臭いなとは思っていたが、駅に着き、さぁ降りよう、とRs50紙幣を渡すと、「料金はRs40だ」とか素敵なことを主張する。
「ざけんなさっさとRs20返せボケ」と日本語で主張し続ける。
おっさんは、不承不承、旧紙幣のRs20札を釣りとして返してきた。この時は、旧紙幣も流通していることを知らずに、「新紙幣あるだろ?そっちで釣り寄越せ」とゴね、ブツブツ言いながら差し出された札をひったくると、アーグラ・カントの駅舎へと向かった。

*1:入り口がどこだか分からなかった。