インド 11月12日

諸事情によりラームナガル城は諦め、宿に帰還。
路地をブラブラ歩いていると、山田FBがよく食べていたポテチを発見。風邪で元気なかったし、土産に買っていくか…と思って店番の兄ちゃんから品物を受け取る。
その視線が、俺から、俺の背後に移る。「あっ」という、驚きの表情。疑問に思う間もなく、代金を渡そうと伸ばした手が、荒々しく引っ張られた。
店の中によろけつつ入って振り返ると、牛が4〜5頭、角を振り回しながら駆け抜けていった。幅の狭い路地に、この突進を避けるような場所はなかった。
一歩間違えば、暴走牛に轢かれて、インドで重傷…ゾッと背筋が凍った。
部屋に戻ると、山田FBがやたら意気消沈してベッドに腰掛けている。
出かけるときは、もう少し元気だったはずだが、と考えつつ訳を聞くと、なにやらトラブルに遭ったらしい。
話の顛末はこうだ。(山F>>記憶違いがあったら、訂正ヨロ)
俺が出かけた後、買い物に出かけた山田FBは、商店でジュースを買おうとした。金を払ってからよくよくジュースを見ると、なにやら底の方に沈殿物はあるし、賞味期限は読み取れないしという代物だったので、店のオヤジに返金を要求したところ、金は返せない、という。
じゃ商品を替えろと言うと、それも嫌だと応じる。数度の押し問答の後、山田FB曰く「肩を押した」ところ、周りを囲んでいたインド人の1人*1にいきなり殴りつけられた。
反撃しようとすると、周囲のインド人と日本人旅行者にそれを止められた。「たかがジュースで、そこまでやることはないじゃないか」…と。
その日本人旅行者の言葉に脱力して、傷心のまま、宿に帰ってきたのだという。
あまりに落ち込んでいるので、見かねて日本から持参した伊集院のMDを与えておく。暫くするとクスクス笑い声が聞こえた。バカな話を聞いて笑えば、少しは気も紛れるというものだ。根本的な解決には何一つなっていないが。
昼食後、ガートに向かう。ガートは、ガンジス川に面した石造りの岸辺だ。ヴァラナシでは、数十あるそのガードの内の二ヶ所が、火葬用となっている。その名もマルカルニカー・ガート。
見物人が、岸辺に鈴鳴りになっていた。見物料を払えというインド人をあしらい、階段に腰掛けた。
インド人の葬儀風景を、実際見る機会が来るとは。布に包まれれた死体が次々とガートに運び込まれ、薪を使って野焼きにされていく。
綺麗な布に彩られた遺体が、船に乗せられ、河の中ほどで、ドンブラコと流された。修行者と幼児は荼毘に伏されず、そのまま流されるのだという。
カイトが空高く翻り、ガンガーが煙る。


夕飯を食べて後、山田FBが先に宿へ去る。俺は日記を書いてネットを使い、帰宿。
ドアをノックする。…返事がない。
あれ?先に戻って…あれ?
何度も何度もドアを叩く。部屋の電気は付いている。
何度も何度も何度も何度もドアを叩く。何故出ないんだろう。
冷や汗流しながら10分ほどノックし続けたら、漸く扉が開いた。ベッドに転がっていたら、そのまま眠りに落ちていたらしい。
頼みますよ、本当に。

*1:無関係の