自転車 8月3日

7時半起床、8時発。昨日の教訓があまり生かされていないところが素敵。せめてもう1時間早く出ろよ。
この日も予定の走行距離は120km程度。郡山泊の予定。
あまりロングツーリングの人たちと話したことがないのでよく分からないが、この距離はどうなんだろう。1日の走行距離としては普通なのかしら。
何回かやってきた経験としては、1時間を目安にした休憩と、夏の1日で最もクソ暑い2〜4時を避けた休憩を入れて無理なく走ることのできる距離は、せいぜい80〜90km程度だと思う。路面状況や体調によって、調子がよければ100km程度。120kmは、自分の中では割と過酷な走りをしたときに出せる数字だ。
最低でも10時間以上、休憩は1時間につき10分程度に抑えないと、ここまでは走れない。



4号線は、宇都宮を過ぎた辺りから急に道路状況が変化する。歩道が一気に狭くなり、自転車には優しくない道が続くことになる。

福島までの道程なら、今年で4回目となる。仙台までなら3回目だ。見覚えのある景色が続く。幹線道路は街と街を繋ぐように走るが、混雑を避けて市街からは大きく迂回したルートを取る。走りやすさならそのまま4号線に乗っていた方が賢明だが、距離を嫌うなら多少路面状況には目をつぶっても市街を抜ける旧道を通った方がいい。どちらにしろ、気分の問題だ。
宇都宮を離れる辺りで、同じ方向に向かう自転車1組と出会った。軽く会釈を交わしたあと抜き去られた。意識する必要はないのだが、この2人組もスピードが少々微妙で、意図せず一定の距離を保ちながら走ってしまう。追い付くでもなく、追い抜くでもなく…うぅ、この距離感は気持ち悪いな。
結局鬼怒川を渡って次にあった町で市街方向に進路を取った。
前日に朝食を用意していなかったのと、水分を切らしていたのは誤算だった。こんなところまできていまだに食事に気を使うのも馬鹿馬鹿しいが、アンパンなどはたんぱく質が多い割に脂質が抑え目で、なおかつカロリーが比較的高い。…というか、山パンはもっと成分表示を徹底してもらいたい。
毎年スパッツ焼けが変なところ*1で付いてしまうので、遅ればせながらスパッツを捲り上げて焼きむらをなくす作戦。ここまで全くインドアで生活していたのに加え、元々色が黒い方ではないので、既に太腿は赤くなっている。熱を帯びて熱い。第一急な日焼けは物理的に痛い。

可能な限り飛ばして走る。目標は黒磯*2に正午着だったが、早い段階で予測修正。実際の到着は1時を回っていた。
昼食も、可能な限り簡単に済ませる。
東京に住んでいると意外なことだが、栃木以北宮城以南のイトーヨーカドーは、すべからく「ヨークベニマル」という店舗名になっている。店のマークは、目に慣れた赤と青地に白い鳩…ではなく、緑とオレンジに白い鳩で、なんとも奇妙な気分になる。
黒磯駅前にベニマルがあるのは知っていたので、おにぎりと、2リットルのアクエリ、爽健美茶を1本ずつ*3、レトルトの春雨スープを買ってお湯をもらい、あらかじめ用意しておいたノンオイルツナ缶をぶち込んで食べる。
腹ごしらえを済ませて、走行開始。ここから若干アップダウンの比率が大きくなる。息を切らせるくらいの上りと、爽快感を伴う下りの組み合わせが続く。
対向する方向から、リヤカーを引いた若者を見かける。軽く会釈。リヤカーの旅をしているのだろうが、俺には無理だなぁ。自転車で精一杯。
2時過ぎに無事栃木県を抜けて福島県入り。

再び平野部に出る。歩道は相変わらず狭い、というより、片方の斜線にしか歩道がない場所も結構存在する。絶えず背後を気にしながら走らなければならない。トラックに引っ掛けられでもすれば即死につながる。
東京から200kmは離れた。車に乗っていれば感じないが、主要道の路肩に立つ「起点から〜km」という標識も、日によっては気分を逆撫でする。100mごとに立っていた日には、何をかいわんやである。「無駄な公共事業じゃないのかこれ」という気分。そもそも100mごとに立てる意義が分からん。
10年前も見た達磨は、相変わらず達磨をしていた。変わらない物も気分を和ませてくれる。

辺りも薄暗くなってきた頃、漸く郡山に到着。駅の総合案内か、駅前の旅行代理店で安いホテルでも探すか…と思っていたら、旅行代理店は見当たらず、駅の案内所は6時閉店というタイミングの悪さ。
しょうがないので、市内中心部にあるビジネスホテルを品定め。3軒目に行き着いたα−1郡山東口店で5500円の提示。もう少し回るか、と思いさ迷うことさらに40有余分。
接客業として肝に銘じたいことだが、心中がどうあれそれが態度に出ないようなコントロールはされてしかるべきではなかろうか。というか、金持ってない風体の人間には素っ気無く対応するのが郡山の流儀なのか*4、4、5軒目で料金を聞いた折、一瞥されて答えを言い放たれた時には心底頭に来た。*5
α−1も決して料金が安いとは言えなかったが、フロントの若いお兄さんの対応は心温まるものだった。
α−1郡山店に赴くと、同じ部屋で5700円の料金提示。「200円か…」逡巡した末、郡山東口店に宿泊することに決定。欲の皮を突っ張るとろくなことがない、という典型のような1日の終わり。
だから「今日は"日が悪い”から、多分…」と覚悟し、東口店に戻って「もう6000円のお部屋しか空いてないのですが…」と申し訳なさそうに言われたとき、気持ちよく「いいです」と頷くことができた。全て、フロントの接客に対する心の現われが結びついた縁だろう。料金ではなく、心の問題だ。*6







自転車旅行は大抵貧乏旅行と相場が決まっている。ホテル泊まりは、いわば掟破りの「邪道」であると信ずる。
が、1人でテント泊は正直怖い。「目が合っただけでも」殺される時代である。公園で野宿だって可能だが、なんと言っても1人は怖い。
頼れるものには頼っておいた方が無難だ。余裕はないにしろ、ある程度に備えた資金があるのに使わないのは阿呆というもの。
…というか、貧乏旅行は貧乏なやつがやればいいんだよ!*7
これについては若干後ろめたさもあるので後述。

*1:膝上15cmくらいの部分から

*2:ほぼ栃木と福島の県境

*3:アホらしいことだが、コンビニで買うのと100円近く差が出る。故にバカにできないのだが、同じものでここまで値段の差があると、その差額分を勘案して「なんだかな〜」という気分になる。

*4:そんなことはないだろうけど

*5:空腹と疲労で心に余裕がなかった説もあり

*6:大袈裟

*7:疲れてます