インド 11月12日 その3

バスが減速した。入り口に掴まっている車掌が、待っている*1客の行き先を聞くためだ。
(あれか!?)
サールナート!?」
「SARNATH!」
藁をも掴むような気持ちで(だってもし本当にサールナート行きなら、これを逃したら次来るのはいつになるやら)問いかけると、車掌が威勢よく怒鳴り返した。
乗車に問題ないレベルまで減速したバスの入り口に飛び込んむと、明らかに旅行者なのは、俺ともう一組、欧米人のバックパッカー(多分カップル)だった。
20分くらいで、バスはサールナートに到着。ガイドブックの地図を参照にしつつ、旅慣れてない日本人丸出しで美術館へ。
目玉は、インドの国章にもなっている、三面の獅子頭を持つ石像。一部欠けているものの、確かに見事な作りだ。
サールナート自体の目玉はというと、アショカ王の時代に建立されたストゥーパである。アショカ王といえば…手塚先生の「ブッダ」に出てきた、あの王様か。

右奥の土作りの塔がストゥーパ。樹の下にいるのは、青春と恋を楽しむ、寝そべる彼氏と膝枕をする彼女。



…。
か、勘違いしないでよ?!べ、別に羨ましくなんてないんだからね!フンッ!(セルフツンデレ)
土壁には、精巧で複雑な文様が彫り込まれている。

寺院の土台を修復、あるいは発掘している風景を撮影したら、働いているおばちゃん達に金を要求されたので逃げた。ストゥーパ見学終了。

その後、ムルガンダ・クティー寺院へ向かう。建立は新しく、寺院内部には、戦前の日本人画家、野生司香雪の壁画が描かれている。仏陀の誕生から入滅までをモチーフとしているらしい。



表情といい、色使いといい、どこか影のある画風に感じられた。
路上のチャイ屋で、お決まりの一杯。おじいさんが切り盛りし、孫らしき女の子が手伝っていた。

その後、ヴァラナシに帰るためにバスを…その帰るためのバスはどこに?歩き方には、ロータリーから一定の間隔でバスが出ているという話なのだが…、そのロータリーにはツアー用の大型観光バスしか停車していない。
40分近く、あっちの通りをウロウロ、こっちの通りをテクテク。
ついには、「日本人住職がいる」という情報を元に、ある寺院を訪ねるも、住職は不在。
これは…サールナートで一人立ち尽くし坊主。仕方なく再びウロウロし始めること数分、前方から蒼いバスが走ってくる。
…もしや?
「ヴァラナシ!?ヴァラナシ!?」
頷く車掌っぽい男。インドのバスは制服とかないから、車掌も一般インド人と全く同じ格好で始末が悪い。
本当にヴァラナシまでいくのか…外れだったら、今度は見知らぬ場所で正真正銘立ち尽くし坊主だ…。
という心配も杞憂に終り、無事にヴァラナシ駅前に到着。やれやれ、と安堵しつつ、リクシャを拾ってゴウドリヤーまで帰る。
ところが、最後まで問題発生。Rs10で話をつけたはずが、いざ着いたら倍寄越せだと。これは予想してなかったので&自分独りなので、滅多に出さない本気怒りモードが自動発動。
どこまでやっていいか*2いまいち分からなかったので、暫く拙い英語で押し問答。すると、リクシャと、言い争う俺達とで通行を妨げられたおばちゃんがキレて、代わりにリクシャワーラーをぶん殴ってくれた。
結局Rs10押し付けて立ち去る。
さて、これでヴァラナシ滞在はおしまい。夜の12時にチェックアウトして、1時発の列車でガヤーを目指す。

*1:標識などはないので、「この辺りにいる客」

*2:ふざけんじゃねーよ、ってぶん殴るとか