こんなことやってます、というログ。
解剖生理学でレポートが出たり、看護学概論のテストがあったり、基礎看護学で一年生が恐れるベッドメイキングの演習があったりと、とにかく忙しい。
で、土日は病院で仕事をしているわけで、今目先のことだけを見ているから、なんとかなっているものの、少し先(例えば来週から再来週まで)を見渡そうとしてみて、思わず絶望に駆られたりしてしまう。
しかも、先月勤務先で小耳に挟んだ話では、「学生は夜勤が月2回まで」ということだったはずが、今月のシフトを見ると3回入っている不思議。もう訳が分かりません。金欲しいからやるけどさ。でも精神的にはキツい。
来月は少し勤務減らそう。テストもバンバン入ってくるだろうし。
- 解剖生理学レポート
「卵円孔について」
Ⅰ.卵円孔について
卵円孔とは、胎児期において左心房と右心房をつなぐ穴である。
1.胎児循環における卵円孔
母体にいる胎児は、空気を呼吸していない。従って、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する作業は、胎盤を通して母体との間で行われている。
酸素と栄養分を含んだ血液は、臍静脈から胎児に供給される。この血液は下大静脈から右心房に入り、卵円孔を通って左心房に注ぎ、左心室、大動脈に流れて上行大動脈から、主として上半身を灌流する。
2.心臓中隔の形成における卵円孔
胎児の成長過程において、原始心臓の内部に中隔が形成され、徐々に左心房、右心房、左心室、右心室の四つの部屋に区切られる。
三日月上の一次中隔が、心内膜枕に向かって成長し、一次孔と呼ばれる大きな開口部が形成される。
一次孔は一次中隔が心内膜枕と癒着すると消失し、代わって一次孔の中央部に二次孔が開孔する。
一次中隔のすぐ右側に、三日月形の二次中隔が発生し、一次中隔の二次孔を覆っていく。
二次中隔は、右心房と左心房の間を不完全に区切るために、楕円形の開口部、卵円孔を形成する。
3.出生後の卵円孔 出生時には、胎盤を経由する胎児循環が止まり、新生児の肺が拡張して機能し始める。このときに、重要な循環の調節が行われる。
出生後、肺への血流量が増大するために、左心房圧が右心房圧より高くなる。増大した左心房圧は、卵円孔弁を二次中隔に圧着させることにより卵円孔を永久に閉鎖させ、その痕跡は卵円窩として残る。
Ⅱ.卵円孔に関連した心臓奇形
・卵円孔早期閉鎖(premature closure of the oval foramen)
卵円孔が胎生期に閉鎖する異常。右心房、右心室の著しい肥大が見られ、左側の発育が低下する。これは通常生後間もなく死亡する。
・卵円孔開存(patent foramen ovale)
高頻度の心房中隔欠損。軽度の単独卵円孔開存では、肺動脈狭窄や肺動脈閉鎖のような他の異常がある場合、血液は卵円孔を通って左心室に迂回し、その結果、血液の酸素飽和度が減少するため、チアノーゼになる。
・小卵円孔開存(probe patent foramen ovale)または探針的開存(probe patency)
約20~25%以上の人々に見られる。一次中隔と二次中隔の癒合が完全でない場合、両心房間の卵円窩の床部の上方位置に小孔があり、一方の心房から他方の心房に、その小孔を通して探針を入れることができる。この心臓内短絡路を通って血液が流れることはないが、他の心奇形が原因となって小孔が強制的に拡大されると、心臓の機能に病的変化が生じる。
・心房中隔欠損
通常では、二次孔形成時における一次中隔の異常な吸収により生じる。
1.その吸収が異常な位置で発生し、一次中隔が有窓化したり、網状になる。
2.一次中隔の過剰吸収が発生し、一次中隔が短くなって卵円孔を完全に閉鎖できなくなる。
3.二次中隔の発達不全により、異常に大きい卵円孔が形成される。
4.一次中隔の過剰吸収と大きな卵円孔形成が、同時に起こることによって生じる可能性もある。
二次心房中隔欠損は少年期には気付きにくいが、二次心房中隔欠損による肺高血圧のような症状は、30歳代あるいはそれ以上の年齢で現れる。心房中隔欠損の閉鎖は、開心術により行われるが、その死亡率は1%以下である。
Ⅲ.考察
心臓は、人間が胎児から、出生、乳児へと成長していく過程で、徐々にその機能を整えていく。卵円孔は、肺呼吸を行う必要のない胎児が、母体から供給される血液に含まれる酸素と栄養分を、体内に効率的に行き渡らせるための機構であり、胎内にいる内は欠くことができないように思える。それにも関わらず、出生して肺呼吸が開始されると、劇的な循環経路の変化を受け、二度と使用することもなくなり、ただの痕跡としてしか残らないところが興味深かった。
卵円孔について調べると、必然的に胎児循環についても触れざるを得ず、解剖生理学で学習しつつある、成人の循環経路(心臓→肺→肝臓→心臓)に比べて、変則的に感じられる循環経路(胎盤→心臓→胎盤)の把握が難しかった。
心臓の先天性奇形である小卵円孔開存が、20%以上という高い確率で発生することに驚いた。
参考文献
ムーア人体発生学 第6版
著:Moore Persaud 監訳:瀬口春道 出版社:医歯薬出版会社
出版年:2005年2月10日
受精卵からヒトになるまで −基礎的発生学と先天異常−
著:Moore Persaud 監訳:瀬口春道 出版社:医歯薬出版会社
出版年:2007年7月25日
ラーセン 最新人体発生学 第2版 学生版
著:William J. Larsen 監訳:相川英三 出版社:西村書店
出版年:2003年5月10日
ラングマン人体発生学 第8版
訳:安田峯生 出版社:メディカル・サイエンス・インターナショナル
出版年:2002年12月10日
系統看護学講座 専門基礎 4 疾病のなりたちと回復の促進[1] 病理学
編:坂本穆彦 出版社:医学書院 出版年:2008年2月1日
まぁこんなもんである。医学部の人間や、もっとレベルの高い看護学校の人が見たら「こんなもんなの?」という水準であろう。実質手を付けたのは提出3日前、実際に完成したのは提出期限10分前という、いかにも(ダメ)学生らしいレポート作成であった。
ちなみに、「書かれていると期待していた基本的なことが、一応全部含まれている」という理由でA評価をもらった。…当日完成なのに。
ただ、B評価との差は2点くらいしかないらしいが…。