脳外科の授業で聞く面白い話。水頭症編。

水頭症とは、物凄くざっくり説明すれば、頭蓋骨に水が溜まり、その水に圧迫されて脳が縮んでしまう病気である。
先天性のものと後天性のものがあるが、今回は後天性の水頭症の話。
治療法として物凄くざっくりと言えば、この溜まった水(髄液)を抜いてやればいい。だが、一度抜いてめでたしめでたし、という話ではない。髄液はまた溜まるからだ。
そして後天性の水頭症の大部分は、原因のよく分からんタイプである。髄液は慢性的に溜まる。
そこで、脳に穴を開けて管を入れ、その管の反対側の先端を腹に繋いで、過剰な髄液を腹の中に流す「V-pシャント」という治療が行われる。
腹の中に流れ込んだ髄液は、腹膜で吸収されるので、お腹の中が髄液でタポタポ、という事態にはならない。
この管を通す頭の穴は、右側に開けられる。脳へのダメージという点で言うと、左側に開けた方が大きいのだとか。
さて、この管を通し、髄液をお腹に流して万事解決…とも、なかなかならない。今度は寝ている時と、起きている時の、髄液の流れる量が問題になる。寝ている時はちゃんと流れるのに、起きるとちょっとしか流れない、というケースが往々にして発生する。
それを解決するために、管に「髄液流量バルブ」を取り付けて、液の流れる量を一定にする。このバルブ、頭に埋め込まれるのだが、「もし埋め込んだ後に、髄液の量が変化したらどうするのか」という疑問がある。心配後無用。ちゃんとバルブの目盛りを変えることができる。
頭に、超強力な磁石を近づけて。
この磁力に反応して、頭の中のバルブの目盛りが変わる。ただ、他の問題があって、磁力を使って体内を走査するMRIが使えない。高電磁波も危険で、「自分で右耳に当てて携帯電話を発信する」のはダメらしい。
バルブの部品にはルビーが使われていて、とても効果なのだそうだ。
そしてバルブの世界的メーカーは、

  • アメリカ→メドス社
  • フランス→ソフィ社

この二社が、世界中の脳外科医を陣営に巻き込んで(大袈裟w)熾烈なシェア争いを繰り返しているという…。
うちの脳外の先生は、

「ちなみに、わたしはメドス派です」

と。
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