アイシールド21 16〜19巻
西部戦→盤戸戦の流れ。
アイシールドのいいところは、漫画的なエッセンスと人間ドラマのリアリティが、絶妙の配合率を保っていることだと思う。超人的なヒーローがいながら、それに相対する凡人もきっちりと描く。熱海、葉柱、桜庭、阿含、雪光、蛭魔…彼らは、決して越えることの出来ない、圧倒的な才能を前にして、ある者はその現実を受け入れ、ある者は必死であがく。その描写がいちいち濃い。
少年誌のスポーツマンガで、ここまでストーリーが面白いものは、ちょっとないと思う。
16巻から18巻までのキモは、クリスマスボウル進出だけでなく、むしろ泥門に欠けた最後の1ピース、ムサシの復帰にあったわけだが、今までの泥門キャラになかった武士的なキャラクターが、またいくつもの名シーンを作っている。
蛭魔たちとの決別、そして苦悩の末の復帰。ここでのストーリーの軸はもちろんムサシなのだが、その不在→登場で、普段滅多に見せることのない、悲しみや驚きの表情が蛭魔に現れ、彼をより魅力的なキャラクターにしている。
更に、今まで謎のヒーローとして活躍していたセナが、ついにアイシールドを外してフィールドに立つ決意をしたとき、まもりは初めて、保護する対象として、あるいは弟として見ていた少年が、一人の戦士・アメリカンフットボウラーであることを知る。
このシーンもドラマチックで、魅せる描き方をしている。というか、この手の覆面ヒーロー物の常套手段として、正体を引っ張って引っ張って引っ張って…という流れを貫くのかと思いきや、こんな演出をするのか!と驚いた。
アメリカンフットボールのマンガってのはあまり無い気がするが、それを抜きにしてもスポーツマンガの傑作に挙げるべき作品。
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