ZOO KEEPER 青木幸子

最新6巻を買ったんで、久々に全巻読み直したらやっぱり面白かったZOO KEEPER
現在動物園が抱える問題を、非常に分かり易く、かつ面白くストーリーにしている。
我が地元には幸い多摩動物公園という、国内でも有数の動物園があり、小学校時代には遠足や家族の行楽で行ったし、つい最近だと3年ほど前に何年かぶりで訪れた。
動物園は、なぜ動物を展示するのか?
価値観の多様化した現代で、改めて突きつけられる問いかけである。ネットが発達し、脳の外部記憶装置としての役割を果たす中、珍しい動物なんて、探せばすぐに情報が引き出せる。行楽の定番の一つに動物園が数えられた時代と違い、珍しい動物を揃えてさえいれば順風満帆、とは行かず、営業努力を発揮しなければ、集客もおぼつかない。そんな時代に、果たして動物園はどうあるべきなのか。
4・5・6巻のテーマは、動物園の目的の一つである繁殖、人のエゴで弄ばれる動物*1感染症の危険、育児放棄、そして、動物の老い。
特に、アフリカ象・大の回は興味深かった。
危険因子の排除された人の飼育下で、自然界ではあり得ないほど高齢化していく動物たち。「折れた足を突いて逃げようとする鳥、死んで解剖してみたら内蔵がぐずぐずに溶けていたゴリラ」。最終的に、病気や老いで救えない状況になったとき、「安楽死」という選択が出てくる。
飼育員の高齢化もある。長年培ってきた技術、蓄積した知識、それ以上に言葉では言い表せない「何か」を持つ、ベテランの飼育員。彼らがリタイアするとき、また彼らの担当した動物たちにも大きな影響を与えてしまう。それをどうやって防ぐのか?




動物園がどんなに立派な目的を掲げようとも、動物を、生まれ故郷から連れ去り、檻の中に入れるという事実を前にして、それを目当てに訪れる、自分を始めとした「人の業」の深さ、エゴの深さを感じずにはいられない。
だが動物たちは、人の都合で用意された「本来ならあり得ない環境」でも、毎日を精一杯生きている。飼育員も、動物たちが安全安楽に暮らせるように、そして「人と動物を身近につなぐ」仕事に、ベストを尽くしている。
そんな「動物園の裏側」は、とても面白くて、人を惹き付ける世界だ。

ZOOKEEPER(4) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(4) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(5) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(5) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(6) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(6) (イブニングKC)

*1:安易な見通しで開業されたテーマパーク