ブラックジャック
OVA版を視聴終了。
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2002/03/22
- メディア: DVD
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出崎統による作品。OVAなので、映像の質は気合十分。古い代の監督だけに、劇画タッチで、記号化された手塚キャラを、リアルに描いている。出演声優も芸達者で豪華な面子を揃えてある。
古臭いと取るか、様式美と感じるかは見る人次第。俺は後者、というか大好きです。出崎作品。
- カルテ1 流氷、キマイラの男
ブラックジャックは大塚明夫、患者の老人役に大塚周夫、という親子競演。
原作の「ハリケーン」の回を基にしている。出崎監督のブラックジャックには、必ず一つは心震えるような見せ場があるが、この回では終盤、死亡したクロスワードを連れて、手術室を出て行く場面。
- カルテ2 葬列遊戯
脚本は、QVA用オリジナル。ゲストのメイン声優は林原メグミ。ブラックジャックに絡む高杉警部として、お馴染みのアセチレン・ランプが登場する。高杉、それから病院長・時雄との対決シーンがカッコよ過ぎる。
- マリア達の勲章
OVA版オリジナルストーリー。OVA全10作の中で1番好きな作品。
明らかにアメリカをモデルとした国を登場させ、大国が小国を圧倒的な力で踏み躙る理不尽と、信念と忠義に生きる人間の美しさを描く。今見てみると、アメリカのイラク侵攻を、その数年前に予見したかのような作品…てのは、穿った評価か。
ヒロインであるマリアの戦闘シーン、ブラックジャックとのやり取りが、切なく、心震える。
- カルテ4 拒食,ふたりの黒い医者
OVAオリジナルストーリー。
原作では何度も登場し、生に執着するブラックジャックの対の存在として、時に協力者として、時には嘲笑う存在として、彼の前に立ち塞がる、安楽死の専門医・キリコ。
OVA版では、最初にして最後の登場となった。原作ほどの刺々しさはなく、彼の死への執着についても語られない。バイクに乗り、作曲をするなど原作にはなかった設定も。
- カルテ5 サンメリーダの鶚
- カルテ6 雪の夜ばなし、恋姫
OVAオリジナルストーリー。珍しく純和風で、ロマンチック、メンヘルな話。
女の怨念と、身分違いの悲恋が美しく描かれる。時代を超えた愛と、救われる結末に、胸が熱くなる。
OVA版の中では、カルテ3に次いで好きな話。
- カルテ7 白い正義
同名の原作がメインストーリー。原作ほど激しく、後味の悪い話ではないが、ブラックジャックとピノコとの絆を示す話だっただけに、若干パワー不足か。
エリート意識の塊である白拍子も、あっさり改心し過ぎ。
前作とのブランクが数年あるせいか、若干絵柄が変わった印象がある。作画と設定を確認してないから、あくまで印象だが。この回から、ピノコの弾けっぷりがスゴい。
- カルテ8 緑の想い
原作は、「木の芽」、…名前を忘れた。2つの話がミックスされている。
木に操られたロレンスに、なぜ正気だったはずのピノコが判断力低下のまま付いていったのかが謎。
- カルテ9 人面瘡
同名の原作ストーリーがある。秋田書店刊文庫版1巻収録。
OVAでは多重性人格障害とはっきり言われ、2つの別人格が登場するが、原作が書かれた当時は「多重人格」に一般的な知名度があまりなかったせいか、登場する人格も1つだけである。
執事の「種田」という人物が登場するが、カルテ6で登場した「種田」とは関係ないようだ。
- カルテ10 しずむ女
原作で公害をテーマにした話は、確か2つ。1つは「望郷」、もう1つが「ふたりのピノコ」。これ系の話を基にするなら、「ふたりのピノコ」でやってほしかった。
全10作の内、好きなのはカルテ6くらいまで。